アメリカ開拓時代がドラマを作る 西部劇/マカロニウエスタン大全集『殺しは静かにやってくる』あらすじとネタバレ感想・レビュー!

マカロニウエスタン史上最悪のバッドエンドを迎える映画。

その陰惨な内容のため、上映禁止になった国も多くあった。

『殺しは静かにやってくる』の解説・概要

製作年 :1969年

製作国 :イタリア 

上映時間:105分

ジャンル:アクション 

監督  :セルジオ・コルブッチ 

キャスト:ジャン=ルイ・トランティニャン、クラウス・キンスキー、ルイジ・ピスティリ、フランク・ウォルフ

<ひとくちメモ>

善人は報われず悪人が高笑いをする無情さを美しい映像とともにうつす。

クラウス・キンスキー扮する悪役の極悪さが一周まわって快感に。

<創作の参考ポイント>

悪の勝利度:★★★★★

後味悪い度:★★★★★

主人公とヒロインの悲恋:★★★★★

あらすじ

西部の街スノーヒル。

悪徳判事に支配されたその街では、アウトローのロコが暴力を振るい住民を恐怖させていた。

ロコに家族を殺されたポーリーンは、しゃべることのできない凄腕ガンマンのサイレンスを雇い、復讐しようとするが…。

<ネタバレ感想・レビュー>

1960年代~1970年代に全盛期を振るったイタリア製の西部劇映画「マカロニウエスタン」。

本作はそんな「マカロニウエスタン」というジャンルの中でも屈指の傑作であるといわれている。

内容はダークで陰惨、暴力的である。

まるで既存の西部劇のヒーローをあざ笑うような作品展開には驚きである。

しかし、ただバカにするだけではなく、普通の西部劇すらも上回るほどのアクションを描きながら、圧倒的に突き放してくるので、もう唖然するしかない。

主人公サイレンスとヒロインのポーリーンはお互いの復讐ために共闘していく内に愛し合う。

傷ついた者同士が寄り合い、愛し合う展開は涙を禁じ得ない。

普通の映画であれば、結ばれるかヒロインが途中で殺されることになるのだろうが、本作では最終的に二人とも無残に殺されるという何の慈悲もないオチになる。

この一切慈悲がない展開を寒々しい雪景色とともに描くのだから余計に寒い映像がさらに寒くなっていくのだ。

そんな本作であるが、エンターテイメント性も高く悪役のロコは非常に不気味で邪悪であるが、どこか人間臭く少し愛嬌すら感じる悪役になっている。

そんな小悪党であるはずのロコが最終的に勝利する、なんともいえない展開になる。

本作はバッドエンドの英雄話を作りたい、という人にはおススメである。

バッドエンドでもいいが、カッコいいところはキメなくてはいけない。

<おすすめ度>

★★★★☆

<作成秘話・豆知識・見所など>

  1. 本作の悪役のロコを演じているのは、クラウス・キンスキー。怪優としても有名であり、ヴェルナー・ヘルツォークが監督した「アギーレ/神の怒り」では狂気の騎士を演じ、話題になった。ちなみに娘であるポーラ・キンスキーに対してレイプを行ったと、死後告発された。これについて生前クラウスは自身が児童性愛者であることを認める記述を残していたことからクロであるといわれている。
  2. ちなみに本作の悪役ロコの日本語吹き替えを担当した大塚周夫さんは、あの大塚明夫さんのお父さんである。クラウス・キンスキー自身とは真逆の聖人で、息子からも尊敬されている。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です