映画「帝都大戦」の解説・概要
製作年 :1989
製作国 :日本
上映時間:112分
ジャンル:ホラー、SF、アクション
監督 :ラン・ナイチョイ、一瀬隆重
キャスト:嶋田久作、南果歩、加藤雅也、丹波哲郎、日下武史
作品の見どころ・オリジナリティ
X-MEN顔負けの超能力バトル
太平洋戦争を舞台にした驚愕な世界間
創作ジャンルの参考ポイント
超能力バトル :★★★★☆
怨霊より恐ろしい米軍機:★★★★★
ちょい役のヒトラー :★★★
あらすじ
太平洋戦争末期の日本。
劣勢が続き、敗戦間近の日本では米軍の影響で多くの死者が相次いでいた。
ただでさえ、劣勢が続いていた日本はなんとか逆転するために霊能力者を使い、連合国側の指導者を死に陥れようとしていた…。
そんな中、太平洋戦争で死んでいった人々の怨念は封印されていた加藤保憲の眠りを呼び覚ます。
加藤は日本を地獄に包むために、日本政府の霊能力を使った連合国指導者暗殺計画を邪魔し始める。
やがて、日本最強の霊能力者である中村が加藤に挑もうとするが…。
ネタバレ レビュー・感想
前作「帝都物語」ではほんのり、ほのめかされる程度でしかなかった、戦争への暗雲は本作では明確に描かれている。
第二次大戦劣勢のさなか、殺された人々の怨念が加藤を蘇らせてしまう。
それは、まるで戦争を起こしておきながら惨敗している日本軍への怒りと憎悪をにじみ出すかのようだ。
と書くと、反戦映画的な説教臭い内容を想像されるかもしれないが、本作ではそういった胡散臭さ・説教臭さは無縁である。
これもまた面白い。
第二次大戦下の日本が舞台でありながら、徹底してエンターテイメントにしているのだ。
これはこの当時、まだ第二次大戦を経験していた人々が存命であったことからこのような戦争を題材にしたSFアクションスペクタクルを作ることができる余地があったのだろう。
旧日本軍の憲兵隊が加藤によって文字通り虐殺されて血の海になるという凄まじいシーンもある。
現在、かなり政治にうるさくなっている日本ではどっちの側によろうとしても、左右どちらからか必ず叩かれる。
しかし、戦争の恐ろしさを忘れているのか、というと地味にそうでもない。
本作は途中で南果歩扮するヒロインの友人が突然始まった米軍の爆撃でこの世を去るというとんでもないシーンが出てくる。
この唐突でドライで突き放しながらも、どこか人の死と隣り合わせという狂った状況、それが戦争なのだ。
また本作は加藤と超能力者の青年・中村との超能力バトルも見ものである。
中村も大した能力の持ち主であるが、加藤に比べればほぼフリーザの前のベジータ状態である。
なすすべなく圧倒され、殺されかけるシーンもある。
前作ではイマイチ伝わらなかった加藤の圧倒的バケモノさ・強さ・スケールのでかさが伝わってくる作品だ。
本作は、もしも第二次大戦を舞台にしたSFやエンターテイメントが作りたい、という人にはおススメだ。
説教臭くならずに、死を予感させるこのドライで突き放しつつもエンターテイメントで興奮させるこの映画はやはり大したもんだ、と声を大にして言いたい限りである。
おすすめ
★★★★
前作よりは劣るが、かなり面白い映画になっている。
作成秘話・豆知識・マニアック要素
①本作の総監督を務めたラン・ナイチョイ氏はその後、「タフ」シリーズで有名になる猿渡哲也氏によるマンガ「力王」の映画化作品の監督もしている。
②本作のヒロインを演じた南果歩は2004年にハリウッドスター渡辺謙と結婚したが、2018年に離婚している。
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